重ねた体、伝わってくる体温。

引き寄せられた、ふたつの心。

それがきっと、求めていた真実。



Secret Honey -3-





ハロウィンのあの日、私は、仮面をそっと手にした。

乳白色の、なんともいえない冷たさをもった、仮面。

次の瞬間、新たな仮面が箱の中に現れ、ソレと同時に、

手にしていたはずの本は、煙の如く消えてしまった。

私のものとなった、仮面だけを、残して。


 「まさか、呪いとかじゃ、ない・・・よね」


あれから3ヶ月。

12月は、仕事が山積みでそれどころはなかったけれど。

奇しくも偶数月である2月14日の今夜。

あの本に記されていたことを、試すことができる。

ハロウィンの日と同じように制服に身を包み、その時を待つ。


  ボーーーーーン


深夜1時を告げる鐘が鳴り、私は仮面をつけた。


 「行か・・・なくちゃ。」


そこには、なにかに引き寄せられるように、自室を出る私がいて。

壁にかかった肖像画は、ある種の魔法にかけられているかのごとく

静かに寝息を立てていた。

フィルチの巡回にもすれ違うことなく、その場所へと足が向かう。

いくつかの角を曲がり、

気がつくと、

見慣れないドアが目の前に。


なんのためらいもなく、ドアの向こう側に、私は足を踏み入れた。


 ギキィーーー・・・


古めかしいドアの向こう側は、見たことのない空間。

人の出入りはあるようで、埃っぽくはない。

静まり返ったその部屋に差込むのは、月の光だけ。

仮面の向こう側が、青白く浮かび上がる。

大きな窓に、ソファーと、椅子。

ソファーの肘掛に軽く腰をかけ、腕を組む人影。


 「いい月夜だね。」

 「そう、ね。」


同じような仮面を被った男子生徒が、そこにいた。

月明かりに浮かび上がる髪の色は、赤くもブロンドにも見えて。

タイの色まではわからない。

ううん、確かめる間もなかった。

右手そっと差し出した彼に、私は導かれるまま、ソファーに座った。

引き寄せられるかのように、唇を重ねる。

甘くとろけるように、柔らかなキス。。。

タイをゆるめ、シャツのボタンをはずしながら、体が火照るのを感じた。

シャツを脱いだ彼の上半身は、鍛えているのかとてもたくましい。

月明かりが、ほんのりと彼の筋肉を浮かび上がらせる。

そんな彼は、私のシャツを静かに取り去ると、器用にブラをはずし、

月明かりの下、露になった二つのふくらみをじっと見つめていた。

恥ずかしいはずなのに、その視線が気持ちよく感じてしまう。


 「綺麗だ。。。」

 「んぁ!」


その言葉が耳に届くと同時に、快感が襲ってきた。

右胸の突起をついばまれながら、左胸の突起を指でもてあそばれて。

強弱をつけてリズミカルに刺激されると、、、


 「んっ、くぅ、ぁあ、んん!」

 「ほら、押し殺さないで・・・声、聞かせてよ。」


はしたない喘ぎ声だけが漏れてしまうから、唇をキツく噛みしめたのに、

雨のようなキスが、それを阻む。


 「君は、こうされたら、どうなっちゃうの・・・かな?」

 「っキャん!」


布越しに、不意につままれたのは、ぷっくりと盛り上がった花芯。

胸への愛撫だけで、それは十分に熟れていて。

ピンポイントな刺激に、思わず声をあげてしまった。


 「素直な反応で、いいね。だけど・・・」

 「んふぅ。。。」


そのあとは、花弁の周りをなぞるように、じらすように、じわりじわりと。

決して中心には触れずに、しかも布越しに悦楽を呼び起こす。


 「んふ、ぁア、も・・・んんっ!」

 「すごいね、もう意味がないくらい、濡れてる。。。」

 「イゃ、言わない、、、で。」


はしたないくらい、濡れていることぐらいわかってる。

学生にありがちな貪るような愛撫ではなくて、優しいけれど確実に弱い

部分をみつけては、じっくりと楽しむような、愛撫。

男性経験は数えるほどだけれど、愛撫だけでこんなに感じるなんて、

いままでなかった。 


 「キミの声、もっと聞きたい。」


彼はやさしく髪をなでながら、私の耳元へ甘い吐息とともに囁いた。


 「ひゃっ!」

 「耳、弱いんだね。」


そういいながら、彼はその柔らかな舌で、耳の後ろを舐める。


 「ぁあん!」

 「可愛いよ。」


体は敏感に反応するようになってしまい、声は抑えることもできない。

彼の唇が、私の唇を包む。

口内に侵入した彼の舌は、私の舌を捉えると、優しく絡めた。


 「キミを、もっと感じたいよ。」

 「わたし・・・も・・・」


その言葉が、抑えていた最後の箍をいとも簡単にはずしてしまった。

耳に心地よいテナーボイスと彼の吐息が、全身を快楽の海に溺れさせる。

もっと、感じたい。

もっと、彼に・・・。


 「もう・・・おね、がい。」

 「コッチもそろそろ、限界。」


ミニスカートとニーハイはそのままに、下着は全て取り払われて。

私は彼のベルトをはずし、窮屈そうなソレを開放する。

天にむかって雄雄しいまでに反り返った彼に、そっと手を添える。

熱くて、堅くて、だけど、愛しい。。。

正体のわからぬ彼を、私は求めずにはいられない。


 (ああ、この人が・・・)


あの本の意味が。

ぼんやりと、その答えがわかりはじめた。


 「ぁん。。。」

 「力、抜いて。」

 「ァァァんん!!」

 「っ・・・すっげ、熱い・・・ぁあ。気持ち、イイよ・・・」


下腹部の圧迫感は、突き上げられるたびに強い快感を引き起こす。

それは規則的でもあり、不規則のような、不思議な悦楽のリズム。

止まらない胸への愛撫は、快感の波をよりいっそう強めて。

こすれあうたび、耳に届く淫らな水音。

そして彼の声。


 「乱れるキミは・・・とっても、可愛いよ。。。」

 「はん・・・ぅあん! あ、あぁ!」

 「仮面の下の素顔を見なくたって、もう・・・あぁ、ああ」

 「もうぅ、ダメ、ぁ、ぁ、っく! イっちゃうぅ!!」

 「・・・っんく!」


熱く白濁したソレが、スカートとソックスの色を、変える。

荒い吐息と、汗ばんだ体、鼻をくすぐるグリーンノート。

抱き合って、互いの快感に身をまかせ。


 「。」


薄れ行く意識の中で、彼に名前をよばれたような。

そんな気がした。






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