3人での共同生活が、この場所からはじまる。

ココが、楽しい未来への出発点。



Photo is Love - Story 7 -





 「はミルクティーだよね?」

リビングに入ると、ジョージがキッチンからマグカップを持ってきた。
朝食は、ベリーのマフィンとジョージのいれてくれたミルクティー。
口の中に甘い香りが広がる。

 「う〜ん、ジョージのミルクティー、絶品!」
 「当然だよ。のために心を込めていれたからさ。」

WWWに到着早々、ウェルカムパーティーをしながら決めた食事当番。
バスタイムはジャンケン順で、家の掃除は3人で。
なんだかくすぐったい共同生活。
ホグワーツの寮生活とはまた違う、3人の暮らし。

キッチンには、鼻歌まじりに片付けをするジョージがいて。
ラグの敷かれたリビングには、ちょっと固めの大きなソファーとローテーブル。
南に面した大きな窓から初夏の柔らかな日差しが差し込む。
ゆっくりと流れる時間。

 「あれ、フレッドは?」

ふと、ひとりいないことに気づく。
 
 「ああ、買い物に行っているんだ。」
 
ふ〜んと返事をしながらも、キッチンから向けられるジョージの視線に
ドキドキしてしまう。

 「、ちょっと見ない間に、一段と大人っぽくなったよね。」 
 「そ、そうかな?」
 「うん。」

急に彼の声が近くなる。
左隣に、いつのまにかジョージがいて。

 「きれいになったね、。」

ジョージの指が右の頬に触れる。

引き寄せられて、瞼の上のふんわりされたキス。
そんな優しいキスに瞳を閉じると、今度はゆっくりと唇が重なる。
少し開いたその隙間から、舌と舌がふれあい、スっと離れる。

 「のキス、甘い。」

顔の向きをかえ、また唇を重ねる。
まるでお互いがここにいることを、確認するように。

儀式のような、ジョージとのキスにうっとりしていると

コロンコロロン。

1階の扉についているベルが音を立てた。

 「っと・・・フレッドが帰ってきた。」

軽快に階段を上がる足音が響き、キッチンにジョージが向かうのと
時を同じくして、リビングにフレッドが現れる。

 「おはよう、! これ、見てみろよ!!」

そういってマダム・マルキン洋裁店の紙袋から、フレッドがなにやら
取り出してソファーにかけた。
グレーの半袖シャツにちょっと短めな黒いラップスカート、そしてロンから
聞いていた、ビビットなオレンジのショートエプロン。

 「これって・・・制服? なんだかカフェみたい!」

シックなデザインは、まるでホールスタッフが着る制服みたいで。
彼らの服の趣味は、ちょっと大人びたタイプだったから、うなずけた。
 
 「そうだろ? イメージはカフェなんだ。」
 「でも年中ハロウィン気分ってことで、エプロンはオレンジ!」
 「ねぇ、。気に入った?」
 「もっと可愛い系がよかったかい?」

ちょっと不安げな表情で、私を覗き込むフレッド。
キッチンからは、ジョージが心配そうにこちらを見つめている。

 「気に入るにきまっているじゃない!」

そういいながら、目の前にいたフレッドの首に抱きついた。
受け止めてくれたフレッドが、そっと背中に手をまわす。

 「そいつはよかった。」

前髪をスっとかきあげられて、フレッドの唇が、おでこに降ってきた。

 「そうそう、これもつけてもらわないとな。」

そういって、フレッドが胸ポケットから取り出したのは、百味ビーンズの
パッケージのようにカラフルなネームプレート。
WWWのマークの横に金色で「」と、私の名前が刻印されている。

 「ふたりでつくってみたんだ、のネームプレート。」
 「まぁ、ちょっと魔法を仕込んであるけれど、に害はない。」
 「害はないって?」
 「「企業秘密!」」

ふたりがずっと夢に見ていた悪戯専門店。
ふたりの選んでくれた制服。
手作りのネームプレート。
やっと、夢にまで見たふたりの手伝いができる。
じんわりと心が温かくなった。

 「わたし、がんばるね!」
 「そうこなくちゃ、。」
 「頼もしいよ、よろしくな!」
 「もちろん!」


* * *


1階の店舗を通りすぎ、地下への階段を下りる。
樫の木でできた扉をあけると、無造作に置かれた箱がたくさん。
その側面には”糞爆弾梱包済み”とか”お徳用詰め合わせ”なんて書いてあって。

 「こっちが在庫置き場、まぁ倉庫だね。」
 「品出しはココからするから。」
 「了解!」

 「それで、ココが新商品を開発する研究室。」
 「いわばココが、WWWにおける心臓部さ!」

ジョージが重そうな鉄の扉を開けると、そこはWWWの地下に広がる、秘密の空間。
壁沿いに大鍋が3つも並んでいて、戸棚には微妙な色合いの小瓶がたくさん。
紙袋に包まれた怪しいものもそこかしこにあって。
センターテーブルには研究室らしく、フラスコに天秤、調合に必要な道具が置いてある。

天井近くに明りとりの窓があるけれど、ちょっとなんだか臭いかも。

 「量産もいまのところはココでやっている。」
 「生産が追いつかなくなったらまた考えるけれど」
 「基本的には入らないほうがいいかも。」
 「確かに、かなり危ないからね。」
 
フレッドが、なにやら爆発したような、焦げた天井を指差す。
きっとふたりとも真っ黒になったであろうその状況を想像して、思わず吹き出しそうになる。

 「でも、一番楽しそうな場所ね!」

ホグワーツにいるとき、彼らがどんな所で悪戯道具を作っているか、私は検討もつかなかった。
もちろん隠し部屋のいくつかは教えてもらったけれど。
気がつくといなくなっていて、しつこくその場所を聞いても

 「それはご勘弁願いたい。」
 「どうぞレディー、談話室へと参りましょう。」

うやうやしくはぐらかされてしまった。
会議はいつも談話室でしていたし、それを眺めるのは楽しかったけれど。
一緒に生活することになって、知らなかったことが色々わかって。
ワクワクもあるけれど、すごく嬉しかった。

 「ジョージ、ちょっといいか?」
 「はいはい、お兄様。」

すたすたと研究室を後にしたジョージを尻目に、フレッドが私に向き合った。

 「キス、してもいい?」
 
ちょっと潤んだフレッドの瞳が、明り取りから差し込む日差しを受けて、キラキラしている。
私は小さくうなずいて、瞳を閉じた。

フレッドに包み込まれて、そっとされたキス。
一瞬離れたと思ったけれど、すぐさま唇がふさがれる。

ちょっと荒々しい、フレッドのキス。

息をしようと唇を開くと、温かな彼の舌が私の舌を捕まえる。
お互いを絡めあって、深く、深く・・・。

 「ん・・・、はぁ。」

だんだんと、頭の奥が、ぼんやりとしてくる。
立っていられなくなったところを、フレッドがすかさず支えてくれた。

 「ゴメン。久しぶりだからブレーキが利かなくて。」
 「ううん、大丈夫」

息を整えつつも、やっぱりフレッドらしいなって思った。
少し照れて、鼻の頭をかくフレッドだけど。
ホグワーツにいた頃と変わっていなくて、ちょっと嬉しかった。

 「。ジョージとキス、しただろ?」
 「な、なんでわかったの?」
 「双子のテレパシーってやつかな、僕もしたくなったし。」

さすがというか、なんというか。
でもそんな2人が、私は好き。

 「あまり待たせるとジョージもスネるからな。さ、休憩室へ移動しよう。」

フレッドがすっと手をのばす。
そっと手をつないで、上階への階段をかけあがった。



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あとがき

何とかならないまま、成田でUPしようとして挫折しました(滝汗)
こっちですぐ使えたのはいいけれど、激オモ!!
ありえない速度にイライラ。
しかも、何度も失敗。 これ、無事にUpできるのかな?
だめかもしれない・・・とりあえずUpします。

皆様からの、ご感想おまちしています!

夢是美的管理人nao