ふたりを愛しいとおもう気持ちに、やっと気づいた。
Photo is Love - Story 3 -
6年目の写真は、ソファーに座るドレスアップした3人。
私の頬にキスを落とすフレッドとジョージ。
すると顔を真っ赤にしてうつむく私。
ダンスパーティーの夜は、思い出すだけでも顔が火照る。
昼下がりの大広間。
いつものように、ふたりの近くに座り、アンジェリーナと課題を進めていた時だ。
「アンジェリーナ、僕と、一緒に、ダンスしない?」
唐突に、フレッドがアンジェリーナを誘った。
既にジョージのパートナーになっていた私。
なのになぜかアンジェリーナに、嫉妬した。
ジョージがパートナーなのが不満だったわけでなくて。
フレッドが誰かに盗られたような気がしただけで。。。
心がぎゅっと締め付けられるような、変な気分。
「、?」
アンジェリーナが声をかけても私には届かなくて。
課題もそこそこに、ふらふらと寮に戻った。
思考は停止したまま、心ココにあらず。
ぼんやりと一日を過ごした気がする。
「、フレッドは私が好きとか、そういうのは絶対ないからね!」
バスルームで、アンジェリーナがちょっと怒りながら声をかけてきた。
「えっ?」
「やっと、私の声が聞こえた?」
この胸を締め付ける想いに戸惑いすぎて、耳にまで神経がいっていなかったらしい。
「うん、ゴメンなさい。」
自分の身勝手さに恥ずかしくなった。
「ほら、一応パートナーは立てないといけないじゃない?だから。。。」
アンジェリーナが気を使ってくれる。
その優しさが、締め付けていた胸のつかえをほぐしてくれる。
「アンジェリーナ、ありがとう。ごめんね。・・・パーティー、楽しみだね!!」
「そう、ダンスも練習しないと、ダメよ〜。」
ダンスは見るのは好きでも踊るのがイマイチで。
ひぇーーーと、頭を抱えながら私はバスルームを後にした。
「もどうして・・・二人が好きだと、気づかないのかなぁ〜。」
アンジェリーナはシャワーをあびながらつぶやいていた。
パーティー当日。
一足先に部屋を出たアンジェリーナに続き、アップにした髪を気にしつつ、
肩にショールをかけて談話室へと向かう。
「ご機嫌麗しゅう、お姫様。お迎えに上がりました。」
ソファーの前で、優雅に挨拶をするジョージ。
制服とはまた違う、シックなタキシード姿は、それは素敵で。
まぶしかった。
「、そのドレスすごく似合っている・・・綺麗だよ。」
「ありがとう! ちょっと照れちゃうけど、うれしいな。」
ジョージの差し出す腕に手首を絡ませ、ホールへと続く階段を下りる。
お互い、すこし頬を染めながら、なんとなく視線が合わせ辛くて。
ふんわりと微笑むジョージの顔に、思わず鼓動が早まってしまう。
「の髪と同じブルーブラック。。。似合うね。」
「ジョージも、ほ、ほんとうに素敵よ!」
なんだかとってつけたような褒め言葉になってしまったけれど。
はぁ〜〜、ジョージの方が余裕があるのかも。
ドキドキしすぎて、心臓の音がジョージに聞こえそう!!
私のドレスは、胸元が大きく開いた、ちょっと大人びた黒。
フレッドとジョージが見立ててくれたのはいいけれど、体の線がはっきりして
しまうシルエット。
おかげで、屋敷しもべの作る美味しいスイーツも、ハニーデュークスの甘い誘惑も断ち切って
この数ヶ月は、ボディーメイクに力を入れた。
正直、今のこの体型を維持するのは・・・自信がないけれど。
アンジェリーナと一緒にヘアメイクも研究して、万全の体制でこの日を迎えたんだもの。
ジョージに褒めてもらえて、やっぱりうれしかった。
ホールの入り口付近は3校の生徒がそれぞれ着飾って、ざわざわついている。
大広間に入ると、正面にはキレイな氷のモニュメント。
キラキラと霜がついた壁はまるで氷穴を思わせる。
冬の星座がキレイに輝く天井からは、ふわりと雪が舞いおりてくる。
すべてが魔法で飾り付けられているので、ホールの中はとてもあたたかい。
「ハリーとロニィー坊やは、いったい誰を誘ったのかな?」
ジョージと一緒に、知っている顔を探しつつ、つい、フレッドを気にしてしまう。
人垣の向こう側で、こちらにむかってニコニコ手を振るフレッド。
ジョージも気づいたようで、同じように振り返した。
ハリーたち代表の4組が入場し、フリットウィック先生指揮の元、ワルツが響き渡る。
ダンブルドアもマクゴナガルと、スネイプさえも踊りはじめた。
氷上を滑るようなスイングダンス。
「ではでは、お相手願います、お姫様!」
ジョージに右手を引かれ、そっと腰に手が添えられる。
ターンをすると、ジョージの、ムスクの香りがふわりと鼻をくすぐる。
ああ、もう男の子じゃないんだね。。。
ふと見上げると、精悍なジョージの横顔。
思わずうっとりしてしまう。
寮の練習でも使ったワルツにあわせ、1曲、2曲とダンスをこなす。
ジョージのリードは、とても踊りやすくて、気持ちイイ。
「と踊れて、すごくうれしいよ。。。」
見上げると、いつもよりも優しく見つめるジョージ。
そのキレイな瞳に、思わず吸い込まれそうになる。
「私もジョージと踊れて、すごく、うれしい・・・」
つぶやくように答えると、タイミングよく音楽が終わった。
同時に、ジョージがすっと身を引く。
数メートル先で、ニヤリと笑うジョージ。
「さて。次は僕とご一緒していただけますか?」
振り向くと、右手を差し出し、私を誘うフレッドがいて。
「もちろん、よろこんで。」
その手に私の手を重ねると、ニヤリと笑うフレッド。
やっぱり双子ね。
同じような、悪戯っぽい微笑み。
予め2人は申し合わせていたのか、フレッドとのパートナーチェンジ。
ジョージに負けず劣らず、リードのうまいフレッド。
ちょっとだけジョージよりも強引というか、力強いダンス。
「僕ものパートナーになりたかったのに、賭けで負けたんだよね」
「ええ? 賭けって・・・」
「ママがロニィ坊やへどんな服を送ってくるかってね。」
賭けの対象になっていたことは、ちょっとどうかと思ったけれど、
「でもね、本当に踊りたかったのはだよ。」
そんなふうに耳元でささやかれてしまうと、一気に顔が赤くなる。
「ねえ。僕の髪の毛と同じくらい、なんだか顔が赤いけど、大丈夫?」
何も言い返せず、意地悪なフレッドを睨んでしまった。
刹那、フレッドの顔も、髪の毛に負けず劣らず真っ赤になった。
「か、かわいすぎ。。。」
そんなフレッドのつぶやきは、私までとどかなくて。。。
「なあに?」
「んでもないよ。」
「きになるじゃない、教えてよ!」
「・・・か、かわいいよ、。」
「・・・」
ぶわっと、顔が熱くなるのがわかった。
フレッドも耳まで真っ赤。
恥ずかしすぎて足がもつれそうになるなか、フレッドのリードで踊るスローダンス。
彼の靴を踏みつけることもなく踊れたのは、奇跡に近いかもしれない。
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