私はこんなに、あなたたちに愛されていたのね・・・。
Photo is Love - Story 2 -
「いったぁ〜〜!!なに、これ?」
あまりの痛さに、溢れかけた涙がひっこむ。
『W』という真ちゅう製の留め金をはずし、中を開くと・・・。
「フレッド・・・ジョージ・・・」
懐かしい、幼い彼らが迎えてくれた。
入学まもないフレッドとジョージが、ニヤニヤと悪戯っぽく笑っていて。
その脇で怯える私がいる。
廊下の曲がり角、へんなおもちゃでおどかされまくっていた頃。
「・! 君の反応は学年一だよ!」
糞爆弾の実験台、ベロベロキャンディーの試食係。
毎回毎回、これでもかとターゲットにされていたっけ。
でも肝心なときは、しっかり助けてくれる二人。
苦手な飛行訓練だって、自主練習に付き合ってくれた。
そんなあの頃を懐かしみながら、ページをめくる。
2年目とかかれたページ。
傷だらけのフレッドとジョージに挟まれて、顔を真っ赤にした私がいる。
これは、2人が初めて出場したクィディッチの試合後。
「がんばってー!!」
声が枯れるほど大声で、ふたりを応援した。
双眼鏡でふたりを追いかけていると、いつもと違う真剣な顔で。
ブラッジャーをタイミングよく打ち返すたびに、フレッドとジョージが、
それはそれは、かっこよく見えて、すごくドキドキした。
リーが実況を任されたの、この試合の後からだったな。
初めて行ったホグズミード。
ハニーデュークスで、アンジェリーナと一緒に両手に抱えきれないほどの
おいしそうな(?)お菓子を買い込んだ。
ゾンコ帰りのリーと双子に誘われて、足を踏み入れた3本の箒。
バタービール片手にはしゃぐ、フレッドとジョージ。
その後ろに、アンジェリーナと私が写り込む、3年目の写真。
初めてのバタービールに酔いつつも、陽気に笑っている私たち。
ハリーがホグワーツに来て、いろんなこともあった1年だったね。
次のページの写真は、ニット帽をかぶってはしゃぐフレッドとジョージに、
ツリーのそばでは眠りこけている私がいて。
「「これ、の手作り!?」」
4年目のクリスマス。
2人へ贈ったプレゼントは、おそろいのニットキャップ。
談話室でふざけながら、でもこっそり測った双子の頭囲。
「魔法で編めばいいのに」
アンジェリーナの言葉をよそに、寝る前に少しづつ。
一編み一編み、二人の喜ぶ顔を思い浮かべながらの作業は、
至福の時でもあって。
「いらなきゃ、いいわよ?」
ビックリ顔のままの2人に、ちょっとすねて答えてみると、
いきなり息苦しくなった。
「うれしーー!」
「サイコー!!」
「「、だーい好き! 」」
2人からの熱い抱擁に困りながらも、2人の真ん中という居場所が
心地よく、その喜びをかみしめていた。
フレッドもジョージも、身長がぐんぐん伸びて、日に日に男の子から、
男性らしくなる。
湖の畔で撮ってもらった写真のなかでは、ニヤニヤしながら私の頭を
ポンポン叩くフレッドとジョージ。
私の頭は、2人の胸よりも低い位置。
2人の間で、なにやら真っ赤な顔をして怒っている。
あ、そうだ。
ちょうどこの頃。
クィディッチの練習が終わりチームがお城へ戻るところを、渡り廊下から
他寮の女の子たちがキャーキャー言いながら見ていたっけ。
スリザリンはあまり見ないけれど、レイブンクローとハッフルパフには、
双子のファンが多かった。
「ねえねえ、どっちがどっち?」
(え?2人の判別もつかないの?)
「えーーー、どっちもかっこいいじゃない!」
(そりゃかっこいいけれど)
「たぶん、ほら!いま髪をかきあげたのがジョージよ!」
(フレッドよ!!)
「かっこいいよねーーー!フレッド♪」
(ジョージだってば!)
「同じ寮だったらナーーー!!」
(それは組み分け帽子に言うべきネ)
そんな様子を目の端に捕らえるたびに、どうにも不機嫌になってしまう。
フレッドを、ジョージを、きちんとわかっていない彼女たち。
いつもいつも、彼女たちのやり取りをみては、イライラしてしまう。
私は渡り廊下をすばやく抜けて、寮へと戻った。
人気の少ない談話室、お気に入りのソファーにどかっと座る。
暖かい暖炉の炎をぼんやり眺めていた。
「双子の見分けもつかないで、何がファンよ!」
思っていたことが、口をついて出てしまった。
「「誰のファンだって?」」
両耳に響くステレオサウンドは、まぎれもなくフレッドとジョージ。
練習帰りの彼らは、ちょっと汗臭かった。
男の子の匂いというか、ドキっとする。
「え?」
ふりかえると、ジョージはかわいい包みを二つ三つ持っている。
私の視線がそれを捕らえた瞬間、フレッドがニヤっと笑った。
「、焼きもちやいてる?」
「そ、そんなこと・・・」
すぐさま否定したけれど、このイライラは焼きもちなのかな?
言葉半分で、思わず考え込んでしまう。
「え? ホントに?」
ジョージが持っていた包みをロンにあげながら、私をまじまじと見つめる。
「「ヒュ〜〜〜♪」」
フレッドとジョージが見つめあい、同じように目を見開いて口笛を吹く。
「見たか?相棒。」
「なぁジョージ。なんて僕らは罪作りな男なのだろう」
「ああ、フレッド。この熱いおもいはだけに向けているのに」
「「だからも素直におなりよ!」」
ふたりそろって抱きしめようとするのを、私はなんとか逃げて
女子寮へと駆け上がった。
「もう、しらないんだからーーーー!!」
ハラハラしたけれど、2人からの愛を体いっぱい感じていた5年目。
だけど、もう一歩を踏み込めない私がいた。
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