その笑顔が、その瞳が、その声が、

全部、全部好き。

もう隠せない、JAMESへの想い。



Gravity of Love - Story 7 -





喉の渇きで、目が覚めた。

眼鏡がなくて、ぼやけた視界。

部屋の中は・・・薄暗い。遮光カーテンの影響なのだろう。

ここは・・・ホテル?だよね。

ユージたちと食事をして、そして、、、


 ズキン!!


久々に、二日酔いのあの痛みが頭をつらぬく。


 「ッつ! イタたたた・・・」


思わず小さな悲鳴をあげてしまった。


 「? Are you OK?」


直ぐ横のベッドから、"彼"の声が聞こえた。

JAMESらしきシルエットが動いて、次第に近づく。


カチャ


視界がはっきりする、JAMESがメガネをかけてくれたおかげ。

彼の指先の触れた頬が、なんだか、アツい。


 「、だいジョブ?」

 「うん、I'm OK!」


枕元のテーブルランプも、彼が付けてくれた。

見渡せば、広い部屋には、シングルベッド2台と、キングサイズベットが1台。

OLIVERとユージが窓側のキングサイズのベッドに。

JAMESは扉側のシングルベッドに。

その真ん中に、私はしっかり寝ていた。


 「はい、。」


差し出されたのは、ポカリスエット。


 「Thank you JAMES. ありがとう。やさしいね・・・・。」


すすめられるままに口に含めば、乾いた体を癒してくれる。

スウェットにTシャツといった、本当に普段着の彼。

髪にはチョコッと寝癖もあって・・・うわぁ。


ふと、私をみてニヤリと笑ったJAMESが、リモコンに手をかけたと思いきや、

正面の液晶テレビの電源が入り、大きな窓のカーテンがザザッと開いた。

瞬間、朝のニュース番組の音と、まぶしい朝日が差込む。


 『オマエら、さっさと起きろよ! 朝から忙しいんだろ!?』

 『ねむい。まだねる。』

 『うん・・んぁ!? おまえが早起きとは、今日は嵐か?』


ブランケットを体に巻きつけるOLIVERとは対象的に、ガバっと起き上がる我が弟。

頭をかきながらも現状を把握して、大きく伸びをした。


 「あ・・・姉貴!! 今日、仕事だろ?」

 「おはよう、ユージ。でもこの時間なら家に戻れるから。」

 「だよな。オレたちも今日は朝から仕事なんだ。」


時計を見れば、5時半。始発ももう動いている。

20分もあれば、マンションまで戻れるから、シャワーを浴びて、着替えて・・・。

ブランケットをたたみ、帰宅してからの行動を頭でプランニングする。

私たち姉弟の会話がどうやら理解できないJAMESは、ソファーの肘掛に寄りかかり、

おもむろに口をひらいた。


 『、朝食を一緒に、どうかな?』

 「え!?」


誘ってくれたJAMESの笑顔が、今日の朝日のようにまぶしい。

彼の笑顔に、私はどうにも弱くて。

思わず仕事を休んででも、彼と一緒に朝食を食べたくなってしまった。


 『あぁ、JAMES。姉貴は仕事があるから・・・』

 『仕事・・・そうか。残念。』


捨てられた子犬のような、しょんぼりとしたJAMESの顔。

そんな顔を見てしまうと、胸がキュッと締め付けられる。


 『そうなの、ごめんね。』


いつまでも寂しげなJAMESだけれど、ずっとココにはいられない。

バスルームでメイクを簡単になおし、後ろ髪をひかれつつも、荷物をまとめ、

部屋を出ようと向き直ったときだった。


 『、送るよ。』

 「「JAMES!?」」

 『ああ、ユージ。エレベーターホールまでだから安心しろよ!』


そこにはジーンズに淡い黄色のポロシャツ姿の、既に着替え終えたJAMESがいて。

さ、行こう! そういいながら、私のカバンを右手に持ち、部屋のドアを開けてくれた。

一瞬、なにがなにやらわからなかったけれど。


 「じゃ、じゃあまたね、ユージ、OLIVER!」

 「あとでメールするから、姉貴!」

 『またね、!』


バスルームに入るOLIVERと、なにやら支度を始めたユージに別れを告げ、そっとドアを閉めた。

振り返れば、にこやかに微笑むJAMESがいて。。。


 『JAMES、ありがとう。眠いでしょ?』

 「、ぼくはダイジョブ!」 


ホテルのコーナーにある部屋から、エレベーターホールへと向かう。


 『昨日はあの後、どこかへ行ったの?』

 『スタッフのお土産を買いに、新宿と、秋葉原へ行ったよ!』


そんな感じに、昨日のことをJAMESと話しながら歩く。

廊下に響くのは、私とJAMESの声だけで。

なんだか嬉しいような、ずっとこの廊下が続いて欲しくなるような。


 「ついちゃった・・・。」


あっという間にエレベーターの前。

名残惜しいけれど、仕事に行かなくちゃな。

笑顔がいっぱいのJAMESを、もっと見ていたいけれど。


 『、仕事頑張って。』

 『ありがとう、JAMESもね!』


なんだか、視線が合わせずらい。

思わずうつむいてしまう。

JAMESを、彼の顔を見つめていたいのに。

ドキドキと、動悸だけが一層激しくなる。


ポーーン


エレベーターの到着を告げるチャイムが鳴った。

ふっと顔をあげ、JAMESの顔を見上げようとした・・・のに。


私は

JAMESの

そのたくましい体に

すっぽりと包まれていた。



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