ふたりが好き。
どちらかなんて、選べないよ。
How come it's You - 2
「は、僕らが好きだろ?」
「はぁ!?」
フレッドからの唐突な質問に、思わず聞き返してしまう。
珍しく授業開始前に現れたと思えば、窓の外を見るように言われて。
気がつけば、教室の片隅まで追いつめられてしまった。
「は、僕もジョージも、同じくらい好き、だろ?」
「なにを急に、私をからかうのもいい加減に・・・」
「からかってない、本気だけど。」
フレッドの、そのチョコレート色の瞳の奥には、真摯な光。
私の心を見透かしているのか。
答えなくちゃ。
私の、本当の気持ちを。
フレッドも、ジョージも、好きだって。
「好き、だろ?」
その言葉に、小さくうなずく。
あぁ〜〜〜、ダメ。
もう恥ずかしくて、この場所から抜け出したい!!
ふと顔を上げれば、ちょうどジョージが席に着いたところで。
目の端で、私とフレッドを確認したはず。
彼なら、この状況をすこしはマシな状態にしてくれる!
それが悪戯でも、今なら許してあげるから・・・。
なのにジョージは一向に動かない。
こちらに視線が向いているはずだか、なんだかいつもと違う様子。
「だから、僕らふたりとの、3人で付き合おう!」
「って、なんてこと言うのよ、フレッド!」
思わず声高になっていた。
ありえない、二人一緒につきあうなんて。
つきあうといえば、一対一なわけで。
ニ対一なんて、ありえない!
フレッドとジョージ、どちらも選べないから。
今のままで、今の関係のままでいいと思っていたのに。
「あぁ〜あ、怒っちゃって。ほっぺ脹らませて。」
「そんなことない!」
「どうしてだい? 本当のことを言ったまでだ。」
まったく困ったものだといわんばかりに、フレッドは腕を組む。
「いい提案だとおもったのになぁ。」
「いいって、そんな、ジョージは?」
「そりゃ、アイツだって・・・」
机に向かったジョージば、彼らしくもなく教科書をめくっている。
リーも不思議そうに、ジョージとフレッドを交互にみつめて。
まいったとでもいいたげな表情になる。
「つづきはまた後で!」
何かを悟ったのか、フレッドはその場を離れ、ジョージの隣に座った。
振り返れば、ちょうどマクゴナガル先生がいらして。
私も急いで席に着いた。
この授業、私はふたりとすこし離れた席。
3列前の右側にフレッド、その隣にジョージ、そしてリーがいる。
なにやらコソコソしているのは相変わらず。
ジョージの様子も気にはなったけれど、私はどうしてもフレッドとの
会話を思い出しては、ついつい顔がほてってしまう。
『だから、僕らふたりとの、3人で付き合おう!』
ねぇ、フレッド。
ねぇ、ジョージ。
ふたりは、それでいいの?
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