ああ・・・自分がイヤになる。

なぜだ?

どうしてなんだ?



How come it's You - 1





 「なんてこと言うのよ、フレッド!」

わかりやすいな、
フレッドにからかわれて、ぷくっと頬をふくらます。
そのカワイイ頬は、ほんのり赤く染まり。

 「どうしてだい? 本当のことを言ったまでだ。」

をからかうフレッドも、まんざらでない表情。
好きなんだろうな、アイツも。
教室の片隅でふざけあうふたりを、僕はぼんやりと
ただ見つめていた。

 「おい、ジョージ。おまえもをからかってこいよ!」

なんで行かないんだ?とでも言いたげの目をしたリーが、隣に座る。
たしかに、いつもの僕なら言われずもがな、をからかいに加勢
しただろう。

でも、ダメなんだ。

どうにもその気になれない。
原因は昨日見た夢。
夢なのに、やけにリアルで・・・をどうしても意識している僕がいる。

 「今日は気分じゃないんだ。」

リーに言葉を返すも、妙にそっけない口調になる。
うすうす、わかっていたのかもしれない。
けれど、それを認めたくなかった。
認めたら、今の関係が壊れそうだから・・。



夢の中で、僕とは恋人同士だった。

 「。そのかわいい声を、もっと聞きたいな」
 「ジョージ・・・」

甘い言葉を耳元でささやけば、の腕が腰に絡まる。
ふわりと香るフルーティーフローラル。
の顔を引き寄せ、柔らかな唇をついばみながら、
夢中で僕はを抱いていた。
耳に残る吐息も、重ねたその温もりも、あまりにリアルで。

 「・・・っん!」

なのに、下半身に広がる不快感。
汚れた下着と虚しさだけが、夢であったことを痛感させた。



もう、戻れない。
いままでのような、への想いを気づかずにいた日には。
ただただ、楽しかったんだ。
フレッドと一緒に、をからかう時が。
の困った顔を、笑った顔を、ずっと、見ていたくて。
それだけで、僕は幸せになれたというのに。

本当の僕は、の全てを手に入れたくなっている。

のオンリーワンになりたいと思っている。

 「もう、ごまかせない」
 「なにが?」

不思議そうに首をかしげるリーをよそに、僕は柄にもなく
教科書をひろげ、ぱらぱらとめくりはじめた。

僕は、が好きだ。
そして、フレッドも。
ごまかせない。
ごまかしちゃいけない。

が好きだという、このキモチは。



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あとがき

まずはジョージSIDE。続きます。
夢是美的管理人nao