バイバイって、好きじゃない。

おやすみのキスは、嬉しいけれど。

なんだか、キモチが上の空。

このままで・・・いいのかな?



Introvert Lovers -01-





ボーン

ボーン

ボーン





もう少し、こうしていたいのに。

時を告げる鐘の音が、こんなにも無情に響くなんて。


 「さてと、寝る時間だよ? 。」

 「・・・うん。」


私の向かい側に座り、ニッコリ微笑むのは、同級生のお兄さん。

名前は、フレッド・ウィーズリー、、、たぶん。

たぶんというのは、彼が『悪戯好き』な『双子』だから。

フレッドには、同じ顔、同じ声、同じ体格をした一卵性の弟、

ジョージ・ウィーズリーがいる。

気に入らない先生や、反応の面白い生徒に悪戯をするのが趣味らしく、

なにより悪戯に使う道具を生み出すのも天才的。

文房具から花火まで、彼らの扱う悪戯グッズは多種多様で校内でも

秘密裏に販売されている。

それだけにフィルチの顔を真っ赤にさせて、2人が追いかけられる姿は

ホグワーツでも日常的すぎて。

だから、ときどきふと思ってしまう。


(本当にフレッド・ウィーズリー?)


正直、確信はない。

ただ、フレッドだと名乗る彼に、私は勉強をみてもらっている。


 「フレッド、いつもありがとう。」

 「お役に立てて光栄ですよ? お姫様。」

 「ちょっ! そういうの、慣れないって言ったじゃない!」

 「それはそれは、失礼いたしました。」

 「もう!」


うやうやしく頭をたれて、まるで騎士のような挨拶までして、

私をからかって、軽く謝って、フレッドは心底楽しそうに微笑む。

悪戯好きな、赤毛の双子の片割れ。

顔や背格好だけでも十分なのに、彼らは私服まで似たり寄ったり。

色違いだったりするときもあるけれど、同じようなパジャマを着た

ジョージは、もう寝ている頃だろう。


 「ほら、も早く寝ないと。明日起きれないよ?」

 「うん。フレッド、おやすみなさい。」


いつものように、両頬におやすみのキス。

キスといっても、ほんとうに軽いもの。

こうして夜を一緒に過ごすようになって、もう半年以上経つというのに

彼曰く『欧州流』のおやすみの挨拶は、まだ慣れなくて。

だからといって、嫌いってわけじゃない。

気づいたときには、フレッドとふたりで過ごせる夜のこのひとときが、

私にとって一日の中でとても大切で、そしてなにより待ち遠しいものに

変わっていたから。


 「おやすみ、。」


本当は、もっとフレッドと一緒にいたい。

そんな私の気持ちを知ってか知らずか、談話室に残るフレッドは、

手を振って見送ってくれる。

バイバイって、あまり好きじゃないけれど、私も彼に手を振り、

寮への階段を登った。



部屋にもどると、仄かな明かりが燈されているだけ。

隣のベッドに眠るハーマイオニーは、小さな寝息を立てている。

印象的な、栗色の髪にブラウンアイ、そして真っ白な肌。

すこし口調はきついけれど、面倒見の良い彼女。

最初に勉強を見てくれたのは、ハーマイオニーだった。




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