フレッドから、ジョージから、パパにあてた手紙。
その最後に、必ず書いてあった言葉。
『 は、僕らにとって太陽です。
の笑顔を、曇らせたくありません。
僕らに出来ることは、なんでもします。
の悲しみが癒えるまで、僕らは待ちます。』
私にとっては、あなたたちが、太陽。
will you make a wish - 4
久しぶりのホグワーツ。
「ミス・。ようこそホグワーツへ!」
校長も、先生も、グリフィンドールの友達も温かく迎えてくれて。
クリスマスムード漂う談話室。
半年ぶりの懐かしい空気。
寮生と一通り挨拶をかわしたとき、フレッドとジョージが顔を出した。
男子寮の階段に近いイスへ腰をおろし、私が気づくのを待っている。
久しぶりの彼らは、すこし髪がのびていて。
その横顔は精悍で、やっぱりカッコイイ。
「ただいま、フレッド。ただいま、ジョージ。」
「「、おかえり。」」
ちょっと高めのテナーボイス。
名前を呼ばれると、ドキリと鼓動がひときわ大きくなる。
そばのイスに腰掛けたけれど、ちょっと緊張してしまう。
そんな私を知ってか知らずか、ふたりは鼻の頭をかいている。
照れているときの癖、相変わらずだね。
「そうだ。今晩、時間あるかい?」
「流星群がきれいなんだ、一緒にどう?」
「流星群、見てみたい!」
天文学好きな私が、そんなお誘い、断るわけないじゃない!
家から送った荷物は幸い既に片付いているし、明日は休日。
・・・あれ?
フレッドもジョージも、天文学はそれほど好きじゃなかったはず。
それなのに、星を見ようだなんて。
ふたりの気持ちが、嬉しい。
「じゃぁ、バスタイムのあと、談話室に集合。」
「時間になったら、見に行こう!」
「流星群の時間は、ちょいと遅いぞ?」
「、起きていられるかい?」
子ども扱いしてからかうふたりだけど。
「大丈夫! もう、子供じゃないってば!!」
まったく・・・こっちが怒る顔をみて、にこにこして。
こうやってふざけあうだけなのに、とても楽しい。
自然と笑顔になれる。
「じゃぁ、またあとでね!」
「「あとで・・・。」」
ふたりの頬にキスを。
感謝のキスを。
* * *
「うわ!さむ〜〜〜いっ!!」
塔の最上階。
扉をあけ、天文台の外にある観測場所へと移動する。
びゅぅと吹き込む風。
弱いけれど、冷たい。
談話室の暖炉の前で、十分に髪の毛を乾かしたし、
ジョージが用意してくれたホットチョコのおかげか
体もしっかり温まっていたと思ったけれど。
ローブの下にセーターを着込んでいるというのに、
12月の夜空の下は、想像以上に、寒い。
「それじゃコレを。」
「はい、温かいだろ?」
フレッドからは、毛糸の帽子。
ジョージからは、ミトン。
それぞれの温もりといっしょに、貸してくれた。
「ありがとう・・・あたたかいね!」
「「そうともさ!」」
澄んだ空気のおかげか、
学校が人里離れた山間にあるからか、
見上げれば新月で、
星だけがキラキラと瞬いている。
「そろそろ、だな」
「ああ。」
懐中時計を取り出したジョージが、フレッドに確認する。
フレッドは塀のくぼみにランタンをそっと置いた。
「「、見上げてごらん」」
うながされるまま、天に目を向ける。
真上の空を、一筋の光が横切る。
「あ!」
「「はじまったな」」
それが合図だったのか。
短く。
長く。
けれどその光の筋は徐々に数を増やす。
一瞬の光を放ちながら、消えていく。
それはまるで、私たちの頭上に降り注ぐ、光のシャワー。
「すごい、きれい・・・」
「ファンタスティック!!」
「宇宙の神秘だ。」
三人三様、思わず口から漏れる。
「、願い事、してごらん?」
不意にジョージが視線を向ける。
「この流れ星に、ね。」
フレッドもコチラを向き直る。
星明りの下、フレッドとジョージが柔らかな瞳で
私を見ているのが、わかる。
願い。
私の願い。
「私は・・・3人で、一緒にいたい。」
「卒業しても?」
「年をとっても?」
「ううん」
私が首を横に振ると、フレッドもジョージも困った顔をした。
でも、ずっと一緒にいたいから。
離れたくないから。
「もっと。生まれ変わっても、一緒にいられますように。」
欲張りかもしれない。
でも、本当の気持ち。
「これからも?」
「ずっと?」
「うん、ずっと。」
にっこりと、やわらかく微笑むフレッドとジョージが、見える。
「ぼくらも」
「ずっと」
「「を愛するよ」」
流星群の降り注ぐ空の下、体を寄せ合い、3人で祈る。
どうか ずっと一緒にいられますように。
どうか 幸せな未来が訪れますように。
どうか 願いが叶いますように。
ずっと、3人で・・・。
END
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