僕らは、祈っているよ。
思い出の、この場所から・・・。
will you make a wish - 1
「そんな・・・まさか。」
が届けてくれたふくろう便は、
私にとって、あまりにも衝撃的な内容だった。
「どうしたんだい? 」
向い側でチキンを頬張るジョージが、その骨をポイとボウルに
放りながら私のほうを見やる。
「その様子じゃ、あまり嬉しい話じゃないみたいだな」
隣に座ったフレッドがコーンスープを飲み干すと、私の顔を覗き込み、
心配そうにつぶやいた。
『。
学校生活は楽しいかい?
パパは元気だよ。
本当は告げたくないのだけれど
ママが病気になってしまった。
魔法で治せればいいかもしれないけれど・・・。
神様は残酷なものだよ。
。
ママに残された時間は、あと数ヶ月なんだ。
病気のことは、ママに隠さず話したよ。
ママはちゃんと受け入れてくれた。
ただ。
残りの時間を、家族で過ごしたいと望んでいる。
、日本へもどってこれるかい?
ダンブルドア校長先生に、話は伝えたから。
あとはが決めてくれるかな。
久しぶりの手紙が、こういう形になってしまって
すまない。
パパより』
ぽたり
ぽたり
ぽたり
瞳から溢れた涙が、頬をつたわり音を立ててテーブルへと落ちた。
視界がぼやける。
パパからのふくろう便が、滲んで、みえなくなった。
「なんで? なんで・・・ママ。。。」
うわごとのように、それしか言えない。
涙が後から後からこぼれて。
さっきまで、美味しく食事をしていたというのに。
胃がギュッと小さく縮まった。
食べたいという欲求さえも、なくなる。
ただただ、涙があふれる。
テーブルの向こう側に座るジョージが、腕を伸ばし、
私より少し大きな手で、頬をつたう涙をそっとぬぐう。
昼下がりの大広間。
この異変に周囲も気づいたのか、少々ざわめきはじめる。
隣のフレッドがザっと手紙をよみ終え、ジョージに目配せをした。
「「ひとまず抜け出そう」」
ふたりはそう言うと、泣きつづける私をフレッドがローブで包み、
大広間をあとにした。
先に中庭へと飛び出していたジョージは、呼び寄せた箒にまたがる。
「例の場所で。」
「ああ、後で。」
フレッドが私をジョージに引き渡す。
彼の後ろに乗るように指示され、私はジョージの腰に腕をからめた。
「しっかりつかまって。」
言うが早いか、あっという間に空へと舞い上がった。
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