君に愛をささやきながら

僕らは君に愛を誓う。

いつまでも、一緒だよ・・・



How come it's You - 6





 「なぁお前ら、が気になりだしたのって、いつなんだ?」

ベッドにうつぶせになって、悪戯商品開発リストを作っている最中のことだった。
やぶからぼうに、リーが質問をしてきたのは。

 「「・・・」」

僕らは目を合わせ、おもわずニヤリと笑みを浮かべる。
そんなこと、教えるつもりは毛頭ない。

 「どうしたんだい? リー・ジョーダン。」
 「なになに、僕らに恋愛相談かい?」
 「困ったなぁ〜。君の好みは僕らに理解しがたい。」
 「アドバイスというアドバイスは全て伝えたはずだし。」

 「「告白するなら、い・ま・だ!」」

大きくうなずき、リーは談話室へと向かう。
奴の思考回路は流石に1年で理解できた。
残念ながら、きっと今回も玉砕だろう。

 「なぁ、フレッドはいつだ?」
 「そういうジョージは?」

仰向けになり、天井へ視線をうつす。
を気になりはじめたのは・・・出会ったあの時だ。



ホグワーツ特急のコンパートメントで、本を読む
周りは皆、見送りの家族に別れを告げようと通路に出ていた。

熱心に本を読む彼女へ、悪戯したい衝動に駆られたのは
僕らのサガ。
小さな花火を、コンパートメントに放り込んで・・・
はじける火花とけたたましい音に、泣き顔の彼女を
想像していたのに。

 「うれしい! 入学を花火でお祝いしてもらえるなんて!」

モウモウと漂う煙の向こうから現れたのは、顔には煤が
ついているというのに、瞳をキラキラと輝かせた満面の笑顔。

この子の笑顔を、もっと見たい。
いろんな表情を、見てみたい。
そして・・・友達になりたい。

そう強くかんじたのは、後にも先にも、だけだ。

同じ寮になって、同じ授業を受けて。
の笑顔も、泣き顔も、色々な表情をみることができた。
彼女のその素直な性格も、凛とした姿勢も。
ホグワーツに、グリフィンドールにいたからこそ、知ることができた。

あれからすぐに友達になれて。

そして、今は、恋人になった。



 「「はじめてあった時、だろ?」」

その声は、重なった。
僕らは、とっくにを恋愛対象として見ていたらしい。

ここまでの道のりは長かったけれど。

これからは、今まで以上に大切にしたい。

を、僕たちが包み込む。

ずっと。
そう、いつまでもと、一緒にいたい。



* * *



選択している古代ルーン文字学の授業を終え、
寮へともどるクラスメートに別れを告げる。

 「これを返したら、なにを借りようかな〜」

返却する本を片手に図書室へと足を向けた。
『あこがれの高等魔法術』
そこには習得が難しそうな魔法術が簡単に解説されていて。
いつかこれが使えれば・・・なんて思わず想像してしまう。

ふと壁にかかった風景画を見れば、そこには湖のほとりで
元気に動き回る動物たち。
秘密の隠し部屋への、入り口の場所。

その時。
本に書かれていた“アニメーガス”の記述が頭に浮かんだ。

 「ねぇ。あなた達って、もしかして・・・」
 「「、誰と話しているんだい?」」

ステレオ音声で耳へ届いた彼らの声に、心臓がトクンと、
ひときわ大きな音を立てる。

振り向けば、甘い微笑をたたえたフレッドとジョージ。

彼らは私とは別にマグル学を選択しているはず。
しかし今日は睡眠学習だったらしい。
ふたりとも頬に教科書の跡なのか、赤くすじができていて。

すごく、かわいい

その言葉は心にとどめて、ふっと湧いた彼らに質問をする。

 「ふたりとも、いったいどこから?!」
 「どこって、なぁジョージ。」
 「の後ろを歩いていただけだけど?」

首をかしげながら悪びれることなく、さきほどまでとはまた
違う、あたたかな笑顔でさらりと答える。

いつだって、突然現れて。

そんな幸せそうな笑顔をされたら。

なんだか言い返す気力もなくすわよ・・・口惜しい。

 「で、誰と話しているの?」
 「なにか、気になるんだろ?」
 「この絵のこと?」
 「それとも部屋のこと?」

矢継ぎ早に質問され圧倒されつつも、本音をつぶやく。

 「・・・両方。」

素直に答えてみた。
だって、本当に気になるから。

 「それなら、中で話そうか。」
 「我らが姫君を、お部屋へごあんな〜い。」
 「ちょ、っちょっと、私は図書館へ・・・」



そっとソファーに腰掛けると、フレッドがどこからか机を運んできた。

 「それではアフタヌーンティーでも。」

いつの間に用意したのか、ジョージがティーポットとカップを並べる。

 「私、ショートブレッドを持ってた・・・あった!」

ローブのポケットにあった、3ピース入りのショートブレッドをとりだし、
封を開けてソーサーにひとつづつ乗せる。

 「ワォ! 、ありがとう! なんだかゴージャズになったよ。」

そういって、フレッドは早速ショートブレッドを口に運ぶ。
ジョージも嬉しそうに座り、カップを手に取った。
私もミルクティーを飲みながら、放課後のお茶会を楽しみたかったけれど。

ここに入ったときのあの質問に、どうしても答えて欲しくなった。

この部屋は、いつからあったものなのか、どうやって見つけたのか
ふたりにたずねるのに

 「いつから・・・それは僕らにもわからないことなんだ。」
 「みつけたのも・・・たまたま、そう、たまたま。」

何かを知っているような、ちょっと引っかかる答えではぐらかされる。
ミルクティーは美味しいけれど、なんだか悔しい。

 「もう! 自分で調べたくなる。図書館いくわ!」

ティーカップをテーブルに戻して部屋を出ようと考えたその時

 「少しは秘密の部分、あってもいいと思わない?」

ジョージはそっと、私の手からティーカップを取り去る。

 「全てを知るには、まだ時期早々って、ね?」

フレッドは私のネクタイに指をかけ、スルりとそれを取り去る。

 「え、ええ!?」

戸惑う私を気にせずに、ジョージは私の靴をそっと脱がせ
フレッドはボタンを一つ、二つとはずす。

 「ここってね、いくら大声出しても大丈夫なんだよ?」
 「だからも、気にしないで大丈夫。」
 「気にしないでって、えっ・・・ぁ、アんっ!」


* * *


図書室へ続く長い廊下。

男子トイレの程近く。

一枚の絵にご用心。

緑豊かな湖畔の風景と、二匹の仔犬、小鹿、そして小さなネズミ。

彼らが眠るそのときは

どうかそっとしておいて。

古の頃からその場所は

悪戯好きな彼らの小部屋。

今は愛を育む

恋人達の場所。



END

Old Story

あとがき


長らくお付き合い、ありがとうございました! どうか、幸せに・・・。
ふたりに愛されるなんて素敵ですよね・・・でもその前の葛藤を書いてみたくて。
それがこの物語の出発点でした。結局、エロ落ちで・・・スミマセン。

夢是美的管理人nao