僕らは『最低』なのかもしれない

左脳で を再構築して

右脳で を犯してる




Fancy Night





恒例のハロウィンパーティーも終盤。
ミラーボールの回るグレイトホールは、バンドの演奏にあわせて
踊る生徒達で溢れていた。
もちろんそれは、私も例外ではなくて。
大好きなオルタナティブロックの音の渦に、身を任せていた。


 「「やぁ、!」」
 「はぁい! ウィーズリーズ。」


頭一つ身長の高い、赤毛の双子が声をかけてきた。
彼らの胸よりも低い位置の視線が常な私も、7センチヒールのお陰か
この人ごみの中でも見つけやすかったらしい。


 「って、結構激しく踊るんだね」
 「え? そうかなぁ?」
 「あまりに楽しそうだからさ。」
 「「つい、声をかけちゃったよ!」」


ニッコリと微笑まれつつ、ステレオサウンドで話しかけられると、
同じ寮というだけなのに優越感を感じてしまう。

嗚呼、側にいるハッフルパフのコの視線がイタい。

一つ年下のフレッドとジョージは、とにかくモテる。
学年問わずに人気があるのは、暴れ球のブラッジャーを勇ましく打ち返す
クィディッチのワザや、清清しい悪戯の腕前だけではなく、その彼らの
整ったビジュアルもあるのだろう。


 「。喉、渇かない?」
 「よかったら向こうで、飲まないかい?」
 「ええ、そうするわ。」


彼らの誘いを断る理由も別段なくて。
乾いた喉を潤すために、フレッドに手を、ジョージに腰をリードされ、
ホールの片隅へと移動し、壁にもたれかかった。

バンパイアに扮した二人は、その燃えるような赤い髪が一層ひきたち、
危険な色香が漂っていて、ちょっとセクシー。
それなのに、私ときたら・・・


 「のドレスって、可愛いというか」
 「そう、キュート!」
 「「何より面白いよ、そのパンプキンスカート!!」」
 「はぁ!? これはバルーンスカートなの!」


顔を真っ赤にして言い返す私をみて、ケラケラ笑う双子たちを前に、
上級生の威厳などすっかりなく・・・まぁ、いつものことだけど。

どうにも彼らにはからかいがいのあるオモチャとしか、見られて
いないような気がする。


 「ばるーん? どのあたりに風船が?」
 「ああ、この胸の辺りにある可愛い膨らみが・・・」
 「ちょっと、もう! これだから男の子って!」


衣装はハロウィンらしくジャック・オ・ランタンをイメージした、
明るいオレンジのバルーンスカートワンピース。
ダークパープルのシャツとブラックのニーソをあわせて。
私なりに、かわいらしくコーディネイトしたのに。


 「まぁまぁ、似合っているんだし。」
 「ほ、ほんと?」
 「そうさ、が一番キュートだって!」


あんなにからかわれた後に、褒められると嬉しさが倍増するというか。
自然と笑顔になっているのが、不思議。
それがタイミングになったのか、フレッドがパチンっと指を鳴らし、
呼び寄せたウェイターから3つのゴブレッドをジョージが受け取り、
そのうちのひとつを私に差し出した。


 「はい、パンプキンスマッシュのミルク割り」
 「あ。ジョージ、ありがと!」

 「「ではでは。」」

 「「「ハッピーハロウィン!!」」」


ハロウィンパーティ限定のスペシャルドリンクを、ぐいっと一口。
パンプキンの甘みとスパイシーなシナモンの香りが、ふわりと広がる。


 「「「ぷはーぁーーー!」」」

 「ウマイっ!」
 「秋って感じだよなぁー」
 「うーーーん、おいしぃ!」


クリーミーだけど後味がスッキリとして。
踊って一汗かいたあとだからか、気分良く飲みすすんでしまう。
気がつけば、私のゴブレットは空っぽ。


 「お? はイケる口だね〜!」
 「僕の分も、よかったら、どう?」
 「いいの? フレッド、ありがと!!」


差し出されたゴブレットを受け取り、一口飲んでからはたと気づいた。

あの・・・これって、間接KISS??

飲むフリをして、ゴブレッドごしにフレッドの顔色を伺ってみたけれど、
彼はさして気にしているそぶりもなくて。
私は恥ずかしさを隠すために、そのままゴクゴクと一気にゴブレットの
中身を飲み干してしまった。


 「あれ? 、もしかして」
 「もう、飲んじゃった??」


フレッドとジョージの心配そうな声が、ぼんやりと頭の中に響く。
目をこらすと、ステージの演出でホールの照明は落とされ薄暗く、
特殊効果のスモークがただよってきて、あたり一面を真っ白にしていた。


 「夜の雲の上にいるみたぁい。なんか、きもちいぃねぇー。」


ほんの少ししかアルコールが入っていないとはいっても、やはり酔いは
まわるもので。
意識はあるのにぼんやりとして、けれど、なんだか無性に人肌が恋しくて。
私は隣りにいたジョージに腕を絡ませ、その二の腕に体を傾けていた。


 「。もっと気持ちよく、なりたくない?」
 「ふれっろぉ?」


声の主の名前を呼んでみたのに、呂律がまわらない。
目の前にいたフレッドが、ジョージにゴブレットを渡すのが見えたとき。


 「おかわりだよ、。」
 「ろーり?」


声の主が、私の顎を引き寄せて、甘くてクリーミーな液体を飲ませてくれた。
柔らかな唇の感触とともに口内に広がる、パンプキンフレイバー。
それを絡みとるかのように、ジョージのやわらかな舌がしなやかにうごめき、
私の舌にまとわりついたと思えば、いやらしく歯列をなぞる。
上唇を優しく吸い上げ、チュパっと音をたてて離れたその口づけに、
思わず小さな吐息が漏れた。


 「、美味しい?」


ジョージに耳元で甘く囁かれ、背中がゾクりとざわめく。
美味しいのは、ジョージからの、キス。
私はただ、頷くことしかできない。


 「もうひとくち、どうだい?」


そういいながら、フレッドが熱を帯びた瞳で私を覗き込む。
欲しいのは、フレッドからの、キス。


 「ちょうだい。。。」


そういいながら、私はフレッドの腕に絡みついた。
やさしく髪をなでるのは、ジョージの大きな手。


 「じっくり・・・味わってよ、。」


フレッドの唇から侵入してきたパンプキンスマッシュは、生暖かくて濃厚。
唇が触れあうたびにその量を少しづつ減らしながら、私とフレッドの口内を
ゆっくりと交互に移動していった。


 「、お味はいかが?」
 「お願い、もっと・・・」

 「「仰せのままに。」」


ゴブレッドが空になり、そのパンプキンの香りだけが残るころ。
ふたりに挟まれるようにその身を預けた私は、ただひたすら、
フレッドに、ジョージに、交互にキスを求めていた。


 「、可愛いよ」
 「・・・はぅん」
 「瞳を潤ませて、僕らを誘ってるの?」
 「ちがっ・・・っん!」


クチュっクチュっと音を立てながら、熱くなった舌と舌を絡ませ、
お互いの唇を軽く吸い上げながら、雨のようにキスをおとせば、
その行為だけでも、体の奥でうずく何かの快感につながっていく。

もっと・・・、もっと・・・、そして私は、意識を、失った。



* * *



の、濡れた唇。

の、潤んだ瞳。

膨らんだ胸の頂にある二つの突起を、僕らが同時に口に含んだら、

、君はいったいどんな声で鳴くんだい?

君の口内を侵食したように、熱い舌で蜜壷から甘い蜜を貪ったら、

、君はどれほど甘い吐息を漏らすんだい?


 「「っぁあ・・・ッ!!」」


さっきまで僕らの腕の中にいた、

僕らのキスで、悦楽に溺れ淫らになった、

今夜の君を思い出し、妄想の中で、僕らは夜な夜な、を犯すだろう。

いつか訪れるであろう、その日のために。





END

あとがき


祭りのあと的なハロウィン双子夢です。
しかも若干エロ←
ほんと、すんません。。。orz

夢是美的管理人nao