約束ね、フレッド。

あなたなら、できるはずだから。

フレッドの力を、私は信じてるから。




Cross my heart






 「、悪戯専門店って・・・イケると思うか?」


唐突に。

けれど、確かめるように。

澄み切った空を見上げて、彼がつぶやく。

ごろりと寝転がった秋の草原は、少し乾燥していて、なんだか寂しい。


 「イケると思うけど、どうしたの?」

 「・・・いや。」


笑顔と自信に満ち溢れた、いつもの彼らしくもない答え。

そっと起き上がって、その赤い髪についた枯葉をとる。

そのまま、フレッドの頭をなでてみた。


 「大丈夫、フレッドならできるよ。」

 「・・・。ママみたい・・・」

 「そこ、笑うところじゃないし!」


ククッと喉の奥で笑うのは、いつもと変わらないというのに。

スイートなチョコレート色の瞳が、なんだか今日はビターに見える。


 「秋らしく、センチメンタルなの?」

 「まぁ、ちょっと・・・ね。」


口ごもって、歯切れの悪い答え。

昨日の商品開発が、上手くいかなかったのかもしれない。

モリーママからのキツーーーイふくろう便が、届いたのかもしれない。

それでも。

彼が口を開かない限り、落ち込む原因はわからない。



けれど、元気になって欲しいから。



おでこにかかる赤い髪をかきあげて、軽くキスをした。

勇気をふりしぼって、私からの、初めての・・・キス。


 「えっ!?」


ガサっと派手な音を立てて、フレッドが飛び起きる。

同時に、彼のローブについていた枯れ草が、ふわふわと周囲に舞った。


 「や、約束・・・して?」

 「??」

 「その、悪戯専門店を成功させるって。」


恥ずかしくて、声を搾り出すのが精一杯。

ギュッと瞳を閉じたまま。

きっと私の顔は、耳まで真っ赤。

心臓の音は、耳のすぐそばでドクンドクンと高鳴っていたし。

それでも、フレッドの背中を押したかった。

弱気な彼を、奮い立たせたかったから。


 「・・・君って!!」

 「うぁ!?」


瞬間、ぎゅっと、フレッドの香りと体温に包まれた。

いつもの優しいハグとは違って、力強い抱擁。

私の顔は彼の胸にすっぽりと埋まってしまって。

やっとの思いで顔をだし、彼の耳元で囁いた。


 「私・・・ね、フレッドのパワーを、信じてるから。」

 「。」

 「だから・・・」


ビューっと、強い風が、私達のそばを通り抜けた。

社会に出たら、大変なことがあると思うけれど。

きっと、大丈夫。

だって、フレッドは、私に誓ってくれたから。


 「。僕は君に誓うよ。」





END

あとがき

弱気になることも、不安に襲われることもあるけれど
夢を信じて、進んで欲しい。
そんな思いを込めて・・・。
みんな、がんばれーーーー!!!

夢是美的管理人nao