ありえない、こんな感情。

ヒトのモノを欲しがるなんて。

私が好きなのは・・・彼女の彼。





My friend's lovers







放課後の談話室、だけどもうすぐ夕食。

ほとんどのグリフィンドール生は移動してしまったようで。

残っているのは、私と、ジョージ・ウィーズリー。

持っていた本の向こう側。

いつもとは違う、静かにたたずむ、赤毛の君。


 「っ!」


ふと絡み合った視線に、胸の鼓動が跳ね上がった。


 「どうしたんだい? 。」

 「な、なんでもない!!気にしないで、ジョージ。」

 「ふぅ〜ん。」


慌てて目を伏せるけれど、頬が赤く染まるのがわかる。

いえるわけがない。

夕日を見つめる貴方に、見惚れていたなんて。


 「おそいよなー、アリシア。」


私の座るソファーの正面、談話室の奥。

窓辺の肘掛け椅子に身をゆだね、頬杖をついたジョージは

ぽつりとこぼす。


 「そう、だね。どうしたのかなぁ。。。」


私の言葉なんて、きっと耳に入っていないだろう。

彼の視線の先には、赤く染まる空。

まっすぐと、その方向を見つめている。

ジョージの髪と同じ色の、そのオレンジ色に、全てが染まる。

そんな彼の横顔があまりにも綺麗で。。。


 「・・?」

 「っ!」


ジョージと視線は、しっかり自分に向けられていた。

不思議そうな顔をした彼が、変わらずそこに座っていた。

私は、見惚れていたのだ。

ジョージ・ウィーズリーに。

ジョージの心は、アリシアでいっぱいなハズなのに・・・。


 「ごめんね!なんか今日は熱っぽいみたいで。。。」

 「、大丈夫? 医務室へ一緒に行こうか?」

 「あ、ありがとうジョージ・・・でも1人でいけるから。」

 「心配だなぁ・・・無理しないで甘えていいんだぜ?」

 「!?」


思いもよらないジョージの言葉に、立ち上がっていた私は

ふらついてしまった。


 「ほら、これだから。。。強がらない!」

 「で・・でも、アリシアは?」

 「こっちのほうが、大事。」


ニッコリ微笑んで、私の肩をそっと抱くジョージ。

彼の触れた部分が、温かい。

歩幅をあわせて、歩いてくれる優しさ。

医務室へと続く道が、永遠ならいいのに・・・。


 「・・・は、好きな奴とか、いる?」

 「じょ!?」

 「じょ?」


瞬間、目が熱くなって、何かがこみ上げた。


 「わた、しは・・・ジョージが。す、好き、なの・・・。」


ずっと、彼といたかった。

ずっと、ジョージを見つめていたかった。

目を、離したくなかった・・・えもいえぬ不安が、沸き起こっていたから。

あの夕闇に、彼がとらわれてしまいそうで。

ぽたりぽたりと、涙が頬をつたって落ちる。

それは乾いた石の階段に、スッと吸い込まれ、消えた。


 「、その気持ち、うれしいよ。」

 「っ!!」


こぼれ落ちそうになった涙の一滴を、ジョージのキスが、すくった。

顔をあげると、消えそうな夕焼けに照らされたジョージがいた。


 「卒業して、気持ちが変わらなかったら、会いに来て。」


目の前はもう、医務室。

彼は小さなメモを私の手のひらに忍び込ませた。

唇に、ふれるかふれないかのキスと一緒に・・・。





END

あとがき


私の中のジョージのイメージは、フレッドよりも紳士。
もちろん浮気なんて・・・なんて思っていた訳ですが。
ホグワーツでの恋は、卒業と共に蹴りをつけて、新たな
恋のチャンスがあってもよいのでは、、、なんて。。。
不死鳥の2人の旅立ち前後はいくらでも書けます。←

夢是美的管理人nao