大好きな、大好きなジョージ。
ジョージが笑うと、私のなかで、
ポンと音をたてて、ポップコーンがはじける。
そのポップコーンは、あなたがスキというオモイ。
Your smile is my treasure.
「ジョージ。あなたの笑顔、大好き!」
そういいながら、は僕の腰に、ギュッと抱きつく。
彼女の笑顔いっぱいの顔は、僕の胸・・・いや、お腹にある。
の身長は、150センチ。
僕の身長は、190センチ。
その差、40センチ。
「どんな人ごみの中でも、ジョージを見つけるのは簡単ね!」
はそういって、嬉しそうに微笑む。
先生の話、悪戯の話。
そしてクィディッチの話。
廊下を一緒に歩いていても、君の可愛い声は、笑い声は聞こえるのに。
君の顔をすぐにうかがい知ることができない。
それが正直、もどかしい。
なのに、はその可愛い顔をくいっと上げる。
キラキラとした瞳で、僕を見つめてくれる。
嬉しいくらい、彼女は一生懸命。
そんな健気な姿に、僕は思わず笑みを浮かべてしまう。
* * *
「おい、ジョージ。おまえ、ちょっと猫背になったな。」
そんなフレッドの言葉を耳にしながら、寮へと向かう。
たしかに。
若干、背を丸めるのが癖になっている。
「まぁ、あれだ。愛の証ってやつ?」
「あぁ〜〜〜、はいはい。」
とは違う選択授業を終え、寮の談話室にもどると、
暖炉の前でハリーとロン、そしてが話し込んでいた。
コチラを向いて座るロンは、僕とフレッドに気づいたようだけれど、
背を向けて座るハリー、そしてはどうやら気づいていないようだ。
それを確認して、僕らはそろって歩みを進め、の近くへ。
体をかがめて、ソファーのすぐ脇に座りこみ、会話に聞き耳を立てた。
「ねぇハリー。私の身長、まだ伸びるかな???」
なんというか・・・。
耳に入ったその質問に、僕もフレッドも豆鉄砲をくらったかのように、
あっけにとられる。
ただひとり、ロンは横目で僕の顔をしみじみと見つめているけれど。
「え!? 、君はそのままでも十分だとおもうけれど」
「いや、ハリー。はその、ジョージとの身長差を・・・」
この半年で急激に身長が伸びたハリーとロンを前にして、
は、どうやったら背が伸びるのかとしきりにたずねていた。
ロンは頭をかきながら、ハリーは一生懸命になって、答える。
なにを食べたのかとか、どんな運動をしたのかとか。
(奴さん、なにを企んでいるんだ?)
フレッドに肩を小突かれる。
(身長のこと、なりに悩んでいたのさ。)
僕と同じように、もその身長差に胸を痛めていたのはわかった。
正直、伸びてしまった背については、どうしようもないけれど。
「私もね、一応、欠かさずミルクは飲んでいるんだ!」
「へぇ〜、それはいい心がけだね。」
朝の遅い僕は知らなかった。
朝食のとき、そして眠る前。
がホットミルクを欠かさず飲んでいるって話。
「ただ最近、シャツがキツイくて・・・。」
「太ったの?」
ロンの失礼な言葉に小さく首をふり、は小声でぼそりと答えた。
「えぇ? で、でぃ、Dカップになったの!?」
あいにく僕らには聞こえなかったけれど、驚いたハリーが嬉しいことに
復唱してくれた。
ソファーの脇で、僕が思わず体制を崩しそうになったのはいうまでもなく。
フレッドは笑いをこらえ、ロンは顔を少し赤くしながら、僕を睨んだ。
継続的なその努力は賞賛に値するというべきか・・・。
身長は伸びなかったけれど、のバストサイズが1つUPしたことは、
うん、とてもすばらしい。
(乳牛さんに感謝!)
喜ぶ僕を尻目に、は浮かない顔。
こんなはずじゃないのに。。。そんなつぶやきとともに、
すこしうつむいたの瞳から、ぽたりぽたりと涙が落ちる。
「あ〜ぁ! 誰だよ、を泣かせたのは!」
「ロン、おまえか? もしやハリー??」
僕らはスクッと立ち上がり、愚弟を睨みつける。
ハリーはビクっと驚いて、ロンは被害者とでもいいたげな困惑顔。
「、ちょっとおいで。」
フレッドがロンに素敵なプレゼント(?)を渡すところを、
目の端で確認しながら、僕はを男子寮へといざなった。
* * *
「大丈夫かい? 」
僕のベッドの端に腰かけるに、そっと水を差し出す。
はソレを一口飲んで、コクリとうなずいたけれど、
すこし潤んだ瞳が、まだ落ち着かない彼女の気持ちを物語る。
「、僕は今ので十分だよ?」
「ジョージ・・・」
の左隣に座り、彼女の肩をそっと包み込む。
の気持ちも、努力もわかった。
身長差がお互いの悩みの種だってことも、ね?
「でもフレッドが、、、ジョージが猫背だって」
アイツ・・・デリカシーがない野郎だ。
戻ってきたら、ちょっと話をつけないと・・・。
「ああ、フレッドは焼いているのさ。」
「え?」
「が、あまりにも幸せそうに笑うから!」
そういいながら、僕はの頬をそっと撫でる。
涙のあとがある頬は、ほんのり桜色になった。
「私、ジョージと一緒にいると、いつも笑顔でいられるの。」
「うん。」
「ジョージの笑顔が、好きだから・・・」
「・・・笑顔が?」
聞き返した僕を、はちょっと怒ったように睨むけれど。
そんな君の表情が愛しくて。
君の唇に、そっと触れる。
軽い、ついばむようなキスだけれど。
見つめあい、微笑むその笑顔は、春の陽だまりのよう。
これからさき。
色々あるかもしれないけれど。
の、この笑顔を、僕は絶やしたくない。
君の笑顔は、僕の宝物だから。
「。僕もの笑顔、大好きなんだ。」
END