本当は、我が侭だったのかもしれなかいけれど。
ジョージなら、わかってくれると思ったから。
私とジョージなら、大丈夫だと感じたから。
You and I
イースター休暇中のホグワーツには、半数程度の生徒が残っている。
時間も時間だからか、いつもより静かなグリフィンドール寮。
談話室には人影もなく、暖炉の柔らかな光だけが揺らいでいる。
「よかった、まだ来ていない。」
ジョージはまだ、談話室にはいなかった。
あと10分で、日付が変わる。
3月から4月へ。
そして彼は、ジョージは15回目の誕生日を迎える。
ホグワーツで迎える、4回目の4月1日。
そして、2人で迎える、初めての4月1日。
だからパジャマじゃなくて、でも昼間とは違う私服。
裾のフリルが可愛いタイトミニとお気に入りのシャツ。
ほんの色づき程度だけどラスベリーピンクのリップもつけた。
気合十分、だけど緊張しているのか、手先がすっかり冷え切っていた。
「はぁー・・・。ドキドキしているのかも。」
暖炉脇にあるソファーに座り、そっと瞳を閉じる。
今夜のことを伝えたのは、3日前の夕食後。
「あのね、ジョージ。31日の夜11時55分。談話室に来てくれる?」
「ああ。もちろん、OKさ!」
すぐさまOKしてくれたジョージ。
深夜の談話室で逢いたいなんて、ちょっと我が侭かなって思ったけれど。
どうしても、一緒に過ごしたかったから。
誰よりも早く、おめでとうを伝えたくて。
誰よりも先に、プレゼントを渡したくて。
瞳を閉じたまま、ジョージに伝えたい言葉を、頭の中でゆっくりと繰り返す。
冷え切っていた指先は、炎の暖かさで徐々にその温もりを取り戻していた。
「おまたせ、。」
耳元でジョージの声がした。
首筋から背筋にかけて、甘い感覚が走る。
同時に、彼の香りと体温が、肩から上を包み込む。
ジョージを感じて、心臓がキューっとなる。
恋という名の、甘い甘い、痛み。
ジョージに包まれたまま、私はゆっくりと口を開く。
「あのね、ジョージ」
「うん」
「ジョージに伝えたいことがあって」
「なんだい?」
私の右手をとったジョージは、うやうやしく私の前にひざまずいた。
つないだ左手は、ひじ掛けの上で私の右手を優しく包みこんでいる。
昼間見かけたジョージの私服とは、ちょっと違っていて。
ジーンズにあわせたダークレッドのシャツは、彼の赤毛を一層引き立てた。
「わたしね、ジョージに出会えて、本当に幸せなの。」
「うん。」
「ココにいてくれて、とっても嬉しいの。」
「うん。」
「だから、その・・・うまれてきてくれて、ありがとう。」
大きな壁掛け時計が、午前0時の鐘をゆっくりと鳴らす。
時を告げるその音色は、談話室に、静かにこだまする。
日付が、変わった。
深呼吸して、ジョージの耳元に顔を近づける。
「お誕生日おめでとう。ジョージ、大好き。」
そっとその頬に、キスを一つ。
「ありがとう、。」
ジョージが膝を立て、ギュッと、私を抱きしめてくれた。
その背中に、私はそっと手を回す。
息苦しくはないけれど、ココにいることを確認するような抱擁。
顔をあげると、嬉しそうに、そして優しく微笑むジョージ。
自然に瞳を閉じて、ふんわりと唇をあわせた。
顔の向きを変え、すこし唇を開けば、ジョージの柔らかな舌が、
その隙間から私を誘う。
それはゆっくりと絡み合っては離れ、そして互いを求め合った。
今夜はジョージと・・・そう心に決めてきたから。
「。いいのかい?」
ジョージの瞳をみつめながら、うなずく。
スっとジョージの腕が、私の足と体を抱え上げた。
いわゆる『お姫様抱っこ』状態で。
私の胸の鼓動は一気に高まった。
それはこのドキドキがジョージに聞こえるのではないかと本気で
心配になるほど。
「大丈夫、フレッドとリーに部屋を空けてもらったから。」
「え・・・」
「男同士のお約束なのさ、こういうのは。」
男子寮へと続く階段を上がりながら、ジョージが耳元でささやく。
「からのプレゼントだもの。大切にいただかないと!」
私を抱えたまま、ジョージは器用に扉を開ける。
そっとおろされたベットは、キレイにベットメイクされていて。
ジョージは、なにやら呪文を唱えると、扉に鍵をかけた。
「実はから誘ってもらって、すごく感激したんだけど。」
「えっ・・・!?」
「ちょっと不安だったんだ。でも安心したよ。、愛してる!」
ジョージの本音と一緒に、しっかり受け取ったキス。
さっきみたいに優しいく柔らかなものではなかったけれど。
いままでのキスのなかで、一番甘くて、そして美味しいキス。
「っぅん・・・。」
それは思わず声がでてしまうほど、頭の奥をしびれさせる。
「一晩中、の声を聞いていたいよ。」
「ちょ・・と、一晩中ってそんな・・・ぁん。。。」
ジョージは器用にシャツからブラをはずし、布越しに弱い部分を攻めたてる。
そこにはまるで、体中が性感帯になったかのように、感じやすくなっている
私がいて。
初めての快感に戸惑いながら、私はジョージの術に溺れていった。
はじまったばかりのこの恋は、暗中模索を続けているけれど
出会えたことに、生まれてきてくれたことに、喜びを感じたのは、
ジョージ、あなたが初めてだったから。
ジョージとなら、大丈夫。
END