僕らの愛をこめて

7年間の想いをこめて

に贈るから・・・だから、笑って。


Magic Photo Album




夢があった。

僕らの店を出すという夢が。

大切な人と、3人一緒に、幸せに暮らしたいから。


 「これはいける!」
 「ああ、まちがいない」
 「美味しいけれど、笑えるだろ?」

リーに協力してもらいながら、カナリアクリームに糞爆弾、しゃっくり飴に
血みどろヌガー、だまし杖からちょっとしたテスト対策用の文具まで。
悪戯道具を売りさばいては、こつこつと貯めた開店資金。
目標金額にはほど遠かったけれど、そこそこ貯まっていた。

 「とりあえず資金を増やさねば」
 「だったら手っ取り早く”賭け”だな!」

でもバクマンは使えなかった。
ありえないくらいアホな大人だった。
結局、僕らは大損しただけ、ふたりで動く方が簡潔だった。

 「あの金はあきらめよう。」
 「ああ、とにかく稼ごう。」

生徒相手にとマクゴナガルは目を見開いたが、ダンブルドアのおかげで
難なく150ガリオンを、3校対抗試合中に稼ぐことができた。

それでも失った全財産には及ばず。

鬱々とした気持ちのまま、6度目の夏を迎えた。
帰りのコンパートメントで、目障りな3人組にここぞと悪戯を仕掛けたけれど、
イマイチ腹の虫はおさまっていなかった。

 「受け取って欲しいんだ。ふたりに。」

そういって渡されたのは、ハリーの優勝賞金。

 「笑いが必要だと思うんだ、これから先も。だからふたりに悪戯を続けて欲しいし。」

ハリーの気持ちはありがたく、全て受取った。
もちろん、ロンには普通のドレスローブをプレゼントしてやったとはいえ、
今までのお金とあわせたら、失った全財産を軽く越え、開店資金どころの騒ぎでなく、
遊んで暮らせる生活費まで確保できてしまった。

その後はとんとん拍子にうまくすすみ、気に入っていた店も借りた。
ずる休みスナックボックスも完成したし、校内での商品販売も軌道に乗ってきた。

冬が訪れる頃、校内でも闇の色がかんじられて、いよいよだと思った。
DAとしてもしも闘ったとき、僕らは生き残れるのだろうか?

不安と焦りが一層増した。
きっとあの場にいた誰よりも、僕らは夢が大切に思えた。

 「そろそろ、かもな」
 「ああ、そろそろだ」

このままじゃ、僕ら2人がここにいる意味がないって。
箒をとりあげられたとき、その時期がすぐそこに来ていると。

 「仕度、しておくか?」

どちらともなく、自然にでた言葉。

旅立つ僕らを、はきっと許してくれるだろうけれど。
一緒に、そばにいられない不安な気持ちは、僕らも同じだから。

 「残しておくに忍びないから、いっそ・・・」
 「いや、でも・・・」
 「そうだな、には卒業してもらうべきだ」

眠れぬ夜を過ごす僕らに、リーが励まそうと、今まで撮影した写真を
掘り返してくれた。

 「これ、結構元気でるぜ?」

クッキー缶に詰まったその写真たちは、本当に懐かしい写真ばかりで。

 「この時のって、かわいいよな!」
 「そうそう! 目に涙をいっぱいためて」
 「「ほんと、たまらなかった!!」」

 「こっちの写真も・・・くぅーー!」
 「いいねぇ、いいねぇ!」
 「やっぱりは、黒が似合うよなー」
 「いやぁー、今すぐを抱きしめにいきたくなる!」
 「確かに!」

呆れ顔のリーをよそに、僕らふたりは写真に見入っていた。

 「そういえば・・・」
 「そうだよ、確か・・・」
 「あった!」
 「そうそう、これだよ!」

パーシーの部屋から失敬していた、まっさらなフォトアルバム。
ウィーズリー家用にと、あのパーシーが15冊セットで特注していた、
真ちゅう製の留め金付きアルバム。

 「これを贈ろう」
 「ああ、それが一番だな。」
 「僕らだって、こんなに元気になれたんだ」
 「だってきっと、いや、間違いなく元気になれる。」

僕らの愛しただから、きっとわかってくれる。

これを宝物にしてくれる。

一枚一枚、僕ら三人の、最高の思い出を貼り付けたから。



未来のことは、ハリーに協力を持ちかけるずっと前から、なんとなく考えていた。
それが確信に変わったのは、ディゴリーの死を目の前にした時からかもしれない。

いつ死ぬかわからない。
たとえマグルよりも寿命が長いとはいえ、死ぬときは死ぬ。

やりたいことを後回しにして、突然、死が訪れたら?

僕らはきっと、後悔するだろう。

悪戯専門店も、との生活も、絶対に手に入れたい未来だったから。




 「そういえば、にきちんと話していないよな?」
 「あ、確かに。言わなくてもわかると思っていたけどさ。」
 「そうだな、僕らの店には必要だし。」
 「僕らの幸せに、は不可欠だし。」
 「ココはきちんと、書いておくべきだな!」
 「8ページ目に挟み込もう。」
 「きっと・・・泣くよ、は。」
 「でも、そのあとは笑顔だな!」
 「ああ間違いない!!」

出発の朝。
最後の一枚を貼り付けて、その次のページに僕らは手紙を挟んだ。

 「リー、コレをアンジェ経由で頼んでもいいか?」
 「こっそりと、こっそりとヨロシクな!」

僕らの姿を焼き付けるかのように、じっと見つめるリーがやっと口を開いた。

 「これが、への最後の悪戯になるんだな・・・。」

僕らは思わず見つめあい、思い切り笑顔でリーをくすぐり始めた。

 「笑えよ、同士よ! 笑顔が一番!」
 「最後じゃないぞ、未来への第一歩だ!」
 「アナウンサーで食っていけなくなったら」
 「迷わず我がWWWへ来てくれよ!」
 「わ、わ、わかったから・・・ひゃひゃ、は、はっはは!!」





手はず通りに、僕らはホグワーツを去った。

は正門から見送ってくれた。

夕日がまぶしかったけれど、振り向かないまま箒を飛ばした。

 「「今頃・・・」」 

夕闇がせまる頃、どちらともなく、口を開いた。

 「、泣いているよな?」
 「ああ、泣いている。でももうすぐ」
 「笑顔になるな、きっと」
 「ああ、間違いなく。」

の元には、僕らの愛を詰め込んだアルバムが。

僕らの元には、との思い出が詰まったアルバムが。

今は離れているけれど、このアルバムが並ぶその日まで。

未来のために、僕らはすすむ。



僕らの判断が、正解なのか、誤りなのか。

そんなことはわからない。

ただ、ハリーへの恩返しと、僕らの未来のために。

愛しいとの、未来のために。

僕らは、僕らの道をすすむ。



END

あとがき

やっとUPができました。
成田で上手くいかなくて、半ばあきらめていましたが。
海外まできて更新するなんて、病気ですね〜。
お国柄、MyPC持参も怖かった・・・でもコレがないと生きていけない!
実はこちらで何度か試しているのですが、上手くいった試しがなくて。
今回は大丈夫みたいで一安心
あっという間に一週間経ちましたが、相変わらずな語学力。
帰国前のテストが今から憂鬱です、、、

感想いただけると嬉しいです!

夢是美的管理人nao