ちらつきはじめた小雪が吹き込む、長い廊下。

図書館への通路を横切り、一つ目の角を右に入った

3歩先の左側の壁。

一見なんの変哲もない壁だけど、ここは秘密の入り口。

そこは恋人たちの場所。



Magic Wall




鬼のような形相のフィルチが、ぐったりとした猫を小脇に抱え追ってくる。
思いのほか早く、ミセス・ノリスへ「またたび」を与えたのがバレたらしい。

 「やばいぞジョージ! 今日のフィルチは、根性がある。」
 「おおっとまてよ、フレッド。 この近くに1部屋ある。」
 「「よし、そこでやりすごそう!」」

図書館を通り過ぎ、一つ目の角を右へ。
僕は左側の壁へ杖を向けた。

 「ノックノック!」

ぽっかりと薄暗い空間への入り口が開く。
こんな呪文で無用心な気もするが、急いでいるだけにありがたい。
フレッドと一緒に中へ入ると、扉は音もなく閉じた。

 「どこにおるんじゃーーーー!まてーーー!」

どったんどったんと、特徴的な足音と、むなしいまでの叫び声が
段々と近づき、そして少しづつ遠ざかってゆく。

 「よし、OK」

すぐそばのクッションへ、勢いよくフレッドは座り込んだ。
ロニィ坊やの部屋並みに狭いこの場所は、僕の管轄。
とはいえ、目がまだ慣れていないせいか、部屋の様子が確認できない。
僕は小窓があるはずの部屋の奥へ、四つんばいですすもうとした、のだが。

 むにょ。

右手が、なにやらあたたかく柔らかいものに触れた。
あっ・・・
この感触を、僕は知っている。
その周辺を避け、ゆっくりと小窓に近づき、勢いよくカーテンをあけた。

 「う、う〜〜ん。なんかまぶしい!」
 「「!!」」

案の定ともいうべきか、ふりかえるとがいた。
「G」のイニシャルの入った、僕のブランケットに包まれて。
部屋においてあったクッションの、そのほとんどをかきあつめた彼女は、
それをベット代わりにして寝ていたのだ。
は大きく伸びをして起き上がり、僕らに向き直った。

 「昼休み、もう終わり?」

あまりに間抜けな質問に、思わず僕は吹き出しそうになる。

 「おいおい、。冗談はよせよ?」
 「そうだよ、。さぼったんだろ?」
 「え? まさか。もう放課後なの?」

信じられないといったその顔は、若干白く見えた。

 「そう、そのまさか。」
 「とっくに放課後。あと3時間で夕食さ。」

僕はのすぐ右横に座り、ブランケットを半分奪い取りつつ彼女へと手を伸ばした。
無表情で何か考え込んでいたは、いきなり瞳を大きくした。
なぜって?
それは僕の左手が、シャツ越しに彼女の背筋をなぞったから。

 「ふ、フレッドお願い! 私の代わりにトレローニー先生へ伝言を届けて!」 
 「、君は占い学を欠席したのかい?」
 「そうなの、お願い。朝、紅茶の葉占いをしたら、卵と細波がでたの。
  は、怪我をするから部屋に閉じこもるようにと読み取りましたって。
  だから彼女は、午後の授業を休みましたって。」
 「そんなんで通じるのかい?」

ちらっと僕を見上げたに、ウィンクで答える。

 「大丈夫、それに関するレポートも明日朝一番でお渡ししますと付け加えて!」
 「了解。ジョージ、のレポート手伝ってやれよ!」
 「いわれずもがな。」

僕の返事が彼に届くや否や、すくっと立ち上がったフレッドは、壁の向こうへと消えていった。
きっとフレッドは戻ってこない。
トレローニーにつかまらなくても、きっと寮に帰るだろう。
頼もしき我が相棒に、感謝!

 「さて。君は僕を待っていたのかな?」

くるくるくるくる、腰の辺りでゆっくりと円を描くと、は体をよじった。

 「ぁん、もう。ちがうの! お昼前の授業が早く終わったから、図書館で本を読んで
  いたんだけれど、どうにも眠くなっちゃって。ココなら眠れるでしょ?」
 「そうなんだ。じゃぁ、どうしてフレッドをトレローニーのところへ?」
 「どうしてって・・・もう・・・ジョージの意地悪・・・。」

そういって僕を見るの表情が、あまりにも無防備で。
可愛いの耳、その裏をぺろりと舐めた。

 「ひゃん!? くすぐったいよジョージ。」
 「くすぐったいの?ほんとに?」

今度は首筋にゆっくりと、舌先を這わす。
の腰で遊んだ僕の左手は、いつのまにやらシャツのなかへと侵入。
かわいい胸を包み込むブラジャーを器用にずらし、やわらかなふくらみを開放した。

シャツの左右に、ツンとしたの突起が、その存在を主張し始める。

 「・・・っはぁ。」

布ごしに両手で包み込み、そのまま優しくなでると、の二つの突起は
徐々に硬さを増す。円を描くように、その部分を集中的に責めれば、
甘い吐息が部屋中に響く。

 「キモチ、いいんだろ?」

僕の言葉に、はすこし唇をかみながら、素直にうなずく。
あまりにもかわいいその表情に、僕はたまらなくなる。

 「ジョージ、ね、しよ?」

そう、ここは僕との秘密の部屋。

恋人たちが過ごす場所。

今日も僕らは、ここで愛をささやく。



END

あとがき

う・・・ちょい絡んでみました。
恥ずかしい!
で、追いやられたフレッドは・・・

 「ジョージの奴、うまいことやりやがって・・・!!」

なんて、寮のベット上でつぶやいているはず。
設定的には双子は5年生デス。夢是美的管理人nao